2004年4月9日金曜日

筑紫哲也「News23」>久米宏「ニュースステーション」

■多事争論「さようならN.S」
45分ほど前に一つの番組が18年半の生命を終えました。言うまでもなく久米宏さんの「ニュースステーション」です。

 「淋しい」というのが何よりも第一の感想でありますが、この番組は“ニュースのかたち”というものを変えました。中でも最大の貢献は「ニュースと茶の間・視聴者の距離を飛躍的に縮めた」ことだと思います。この番組が無かったら私たちの番組も生まれていなかっただろうし、私もここに座っていなかったろうと思います。

 よく二つの番組は光栄にも比較されてきた訳でありますけれども、ライバルというよりは、もちろん負けたくないという気持ちがあって番組を作ってきたことは確かでありますが、それよりも「同じニュースというものを追究している仲間だ」という想いが強くあります。その中で「与党からの風当たり」とか「差し障り」とか、いろんな事を言われた番組でありますが、それはニュース報道をやっていれば、むしろ当然の事であって、それだけたくさんの事を言われたというのは久米さんにとっても番組にとっても、私は“勲章”だろうと思います。ジャーナリズムをやっていたという証拠でもあると思います。久米さんはよく「自分はニュースの司会者に過ぎない」ということを言いましたけれども、しかし、やっていた事は、私は報道の本筋に則ったお仕事だろうと思っております。

 私より若いのに先に辞めてしまうというのはずるいじゃないか、という個人的な感想もありますけれども、しかし、本当に18年半もの間ご苦労様でありました。
 「仲間」ねぇ…これは本心だと思うな。


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