2004年5月23日日曜日

鈴木宗男 年金未納 / 小泉訪朝

■拉致被害者家族が帰国した。このビックニュースの脇でこっそりと年金未納を発表した卑怯者がいた…「ムネオハウス」こと鈴木宗男だ。鈴木宗男、外務政務次官在任中の90年12月から91年10月までの11カ月間、保険料を納めていなかったことを22日に発表した。受託収賄罪などに問われ、公判中のムネオハウスは、7月の参院選に北海道選挙区から立候補すると表明している。年金未納は大したことないが、こういう姑息な手段が気に入らない。


■さて、気を衒って鈴木宗男をトップにもってきたが、やはり拉致被害者家族帰国について。

■訪朝前、森前総理が「行くからにはそれ以上の何かがあるだろう」とたずねたところ、小泉総理は黙ってうなずいたという。拉致被害者家族の帰国以外に、行方不明者の安否などでも成果が期待できる…と報じられてきた。つまり、「8人の帰国+α」ということになるだろうと予想されていたので、世論はこの「+α」の部分に注視していた。それだけに、逆の意味で「サプライズ」だったのかもしれない。

■帰国する手はずは整っていたとてっきり思っていたのだが、「脱走兵」のチャールズ・ジェンキンスさんと娘さんは帰国しないという。そもそも、「帰国」という言葉は正確ではない。北朝鮮が働きかけたかどうかは定かではないが、ジェンキンスさんが訪日しないというのは当然の理由がある。そのことが拉致問題をややこしくしている。


■北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の横田滋代表は、記者会見で「再訪朝は予想していた範囲の最悪の結果となった」「もっと時間をかけて交渉すべきだった。(北朝鮮の)実利だけが通った形で落胆している」 と交渉結果を強く批判した。

■今回の訪朝について、読売新聞の「北“こうかつ”外交術、2枚のカードで多様な実利獲得」という記事が的確な指摘をしている。
 首脳会談の結果を分析すると、北朝鮮が明確に「譲歩」したのは5人帰国だけだ。曽我さん一家の問題、安否不明者調査再開は、今後の対日交渉次第で、いつでも揺さぶりカードとして使えるよう手元に残した。

 核問題をめぐっても金総書記は非核化を目指す意思を示した上で、6か国協議進展に努力すると約束したが、これは4月の胡錦涛・中国国家主席との会談で表明した内容そのままだ。「米国の姿勢で核抑止力を持たねばならなくなった」と従来通りの論理を強調し、米国に直接取引を迫る意思を改めて鮮明にした。

 これに対し、北朝鮮が獲得したのは、まず、経済崩壊寸前の中で早急に必要な食糧25万トンと1000万ドル相当の医薬品。対北制裁法も発動されれば、日本からの金とモノは止まり、北朝鮮経済の息の根が止まるほどの威力があるだけに、発動阻止は是が非でも獲得しなければならなかった。

 さらに注目すべきは、「日本は今後、在日朝鮮人に差別を行わず、友好的に対する」との約束だ。これは一見、政治的意味が薄いように見えるが、北朝鮮からすれば、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)施設への課税、貨客船・万景峰号の検査などをめぐり、日本に今後の対応の緩和を迫る論拠を得たのにも等しい。

 北朝鮮の獲得物はいずれも経済に連関している。北朝鮮経済は日本に相当、依存してきたが、拉致問題で、その動脈は狭まった。金総書記は、小泉首相を再び平壌に迎え入れ、動脈を復活させることを狙ったのだ。

 北朝鮮は対米交渉や南北対話で、相手国が解決を求める懸案をカードとして逆手に取って、その価値を高めた上で、効果的に切って目標を一気に獲得する外交を得意とする。核問題がその象徴で、韓国が求める離散家族再会も同じだ。金総書記は、日本に対して拉致カードを使ってまったく同じ外交術を使った。
 否定的な見方が強くなるかもしれず、民主党にはチャンスカードの到来と言えるかもね。さぁ、どう攻めよう?


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